最終更新日 2004/01/19
ベネズエラ<その2>
失われた世界ギアナ高地2<エンジェルフォール>
ロライマ山での5泊6日のトレッキングを終え、サンタ・エレナ・デ・ウァイレンからカナイマ国立公園でのもうひとつのみどころ、エンジェルフォールの玄関口シウダー・ボリーバルまで向かった。サンタ・エレナ・デ・ウァイレンの町からターミナルまでタクシー(Bs.2000)で行き、朝7時のバス(TURGAR社・Bs.10000)に乗り、12時間で着くはずだったのだが、6時間行ったところで検問があり、同行者3人ともども荷物ごと降ろされた。
2時間半ほど身体検査をされたり、質問されたりした挙句、車でトゥメレモの通称カサ・ブランカという軍の施設に連行された。そこで、パスポートに不備があるだのなんだのかんだのといちゃもんをつけられ、さらに2時間半いじくりまわされる。5時間に渡る拘束の末、あからさまに賄賂を要求される。なんだそういうことかと納得するが、もちろんそんなもん払うわけがない。バスもこっちの都合で途中下車したわけではないので、同じ会社のバスに事情を説明して乗る。(これに関しては後日さらに詳細に執筆予定。とりあえずはこちら→気刊きょうこのごろ<第10回>エンジェルフォールでガイドをやる!)
おかげでシウダー・ボリーバルに着いたのは夜中の2時。おどろいたことに、そんな時間にもエンジェルフォールツアーの客引きがいた。そんな時間にターミナルに着いて、聞く耳を持つやつなんかいるはずがない。こんなわけわからん時間に見知らぬ町をうろつきたくないので、寝袋にくるまってターミナルで夜明けを待つ。こっちは軍人相手に1人で渡り合い、4人分のパスポートを取り返してきたのだから、へろへろに疲れているのだ。
エンジェルフォール最寄の村はカナイマ、最寄の町はシウダー・ボリーバル。エンジェルフォールにより近いのはカナイマ。カナイマ発ツアーの方が安いだろうとふんでいたのだが、実際はそうではなかった。カナイマは陸の孤島なので空路以外に道はない。シウダー・ボリーバルからカナイマまでは往復100ドル。シウダー・ボリーバルからのエンジェルフォールツアーは、カナイマ国立公園入場料のBs.8000以外、交通、食事、宿泊などはすべて込みで150ドルから。カナイマまで自力で飛んでも、ツアー料金は100ドルはする。カナイマまで行きついてしまえば、そこからツアーにのる以外に選択の余地はない。だから、逆に高くなる。シウダー・ボリーバルは旅行代理店が多く、競争が激しいので薄利多売。後で知ったのだが、シウダー・ボリーバルの代理店がツアーの申し込み窓口、カナイマの代理店がやってきたツアー客の受け入れと、それぞれの役割分担がすでにできあがっているのだ。
シウダー・ボリーバルからエンジェルフォールツアーでカナイマに行く方法は二つ。シウダー・ボリーバルから1時間5分、直接カナイマまで飛ぶ。あるいは、シウダー・ボリーバルから車で3時間行って、パラグアから25分カナイマまで飛ぶ。エンジェルフォール2泊3日ボートツアー料金は、前者が180〜230ドル、後者が150〜160ドル。一番安かったのは、泊まっていたホテルカラカスの旅行代理店。しかし、遊覧飛行が高かったのとどうも信用できなさそうだったのでやめ。結局、TCを1ドル=Bs.2150で両替してくれて、ツアー料金155ドルを1ドル=Bs.2000で計算、つまりBs.310000にしてくれた旅行代理店に決めた。さらにこの代理店は安く遊覧飛行をする方法をおしえてくれた。カナイマ村での1泊をおまけにつけてもらい、あらかじめ3泊4日のツアーとして日程を組んでもらった。そんなわがままがきくのは、私たちが4人で参加したから。1人だとこうはいかない。ツアーは、日本人4人とオーストラリア人、スウェーデン人各1人だった。
エンジェルフォール遊覧飛行 滝は深い森に吸いこまれていく <1日目>2003年6月11日(アオンダキャンプ泊):朝8時前、代理店で朝食。パラグアから飛ぶはずが幸運なことにシウダー・ボリーバルからの便に空きが出た。9時40分ごろ、5人乗り小型機でフライト。パイロットはフレンドリーで下に見える川の名前やらダイヤモンドの鉱山やらいろいろおしえてくれるが、飛行機酔いでこっちはそれどころではない。なんとか1時間持ちこたえたのだが、着陸直後に吐いた。小型機なので減圧しないうえにかなりの低空飛行。おかげで景色はよかったのだけれど、久しぶりに乗り物酔いをした。
カナイマの空港で国立公園入場料(Bs.8000)を払って、そのへんにたむろしているパイロット連中の中から代理店オーナーの知り合いを探す。よりによって、そのパイロットのあだ名はモノ(mono=猿)。見つけた彼は猿というよりゴリラっぽかった。同じツアーのオージーが20ドルなら乗ると言っていたので探すが滝の散策に行ってしまっていたので、定員に1人少ない4人で交渉。結局、100ドル、もしくはBs.200000で話がまとまり、1人Bs.50000払う。破格の値段で飛べたのは、パイロットが代理店のオーナーの顔をたててくれたから。オーナーが事前にモノに電話を入れてくれていたおかげで交渉もスムーズにいった。そのかわり、フライト時間は30分とちと短かった。
カナイマ村とエンジェルフォールはかなり離れているので天気が異なる。カナイマが晴れていてもエンジェルフォールは曇っているなんてことは当り前なのだ。カナイマは快晴。パイロットによるとエンジェルフォールも晴れているとのこと。さっき一発吐いたばかりなので元気はつらつ。エンジェルフォールのあるアウヤンテプイにいたるまでも、すでにテーブルマウンテンがたくさんあり、その台地から滝が流れ落ちている。エンジェルフォールもただ長いだけでこんな感じなんだろうと考えていたら、とんでもなかった。機体が悪魔の渓谷に入って間もなく、天使の滝は姿を現した。
これが滝なのだろうか。まるで怒涛のような天上からの放水だった。悠々と遥か979メートル下まで粉のように散らばっていく。それは水というよりもはるかに雪崩に近い。雨季の大量の雨が白くまとまり、その先端は深い森に吸いこまれていく。小型飛行機が大きく機体を傾けて旋回した瞬間、滝が落ち始めるところから霧散して丸い虹が出ているところまで、その全長が目に飛びこんだ。
あまりの神々しさに圧倒された。もうこれ以上の景色にめぐりあうことはないと心の底から思えた。中南米を通算2年以上旅してきた。これだけ時間をかけてもまだ南米ではコロンビア、エクアドル、中米ではパナマ、コスタリカ、ニカラグアを残している。これら未知の国を通って、これからまた既知の国々に向けて北上を続ける。しかし、これまで見てきたもの、これから見るであろうもの、思いあたるすべてと比べたところで、このエンジェルフォールに勝る景色なんてどこにもあるはずがないとしか思えなかった。
カラオ川 眼下はテプイだらけ 小さな滝が流れ落ちる 怒涛のような天使の滝
カナイマ湖 アチャ滝 ゴロンドリーナ滝 遊覧飛行の興奮が冷めないまま、カナイマキャンプで昼食。「オージーのにいちゃんよ、あんたはすごいものを見逃したんだよ」とちょっと彼を憐れむ。ボートでカナイマ湖を周遊。ずいぶん離れているのに霧のように細かな水しぶきがかかる。こんななんでもない滝でも雨季なので流れがすざましい。その後は、カナイマ湖に浮かぶアナトリー島のサポ滝、サピートの滝へ。
サポ滝はカーテンのように流れ落ちていて、その水幕の裏側を歩くことができる。水着を着ているから濡れるのはかまわないのだけれど、流れがあまりに強くて息をするのもままならない。水も冷たくて、けっこう身体が冷える。サポとはひきがえるのこと、サピートとは小さなひきがえるのことだ。その名前の通り、サピートの方が小さな滝だった。乾季でサポ滝が涸れてしまうとアチャ滝をくぐるそうだ。もちろん雨季でもアチャ滝はくぐれる。
ボートでアオンダ渓谷にある、アオンダキャンプに向かう。予想外に電気があってびっくり。夕方、キャンプに着いたとたんに雨が降り出し、一晩中激しく降り続けていた。
サポ滝 あたると痛いほどの水量 水のカーテンの裏を歩く サピート滝
<2日目>2003年6月12日(ラトンシートキャンプ泊):昨夜、私はフォークでコーヒーをかき混ぜた。オーストラリアの迷信でそれは不運を招くことになるのだそうで、そのせいか今日は食料が足りないのだという。なんだそりゃと思うのだが、こういう初歩的で重大なミスが中南米ではよく起きる。いいかげんもう慣れたが、毎度毎度想像を絶することが起こってくれる。ちょうど一食分が足りないという。ツアー客全員で検討した結果、我々はエンジェルフォールを見にここに来ているのであって、飯を食いに来ているのではないという結論に至る。夕食のデザートを昼食にまわすことにし、ボートでラトンシートキャンプに向かう。
キャンプからジャングルを2キロ歩いてライメ展望台に行く。地表のすぐ近くまでが堅い岩盤で覆われているため、ジャングルはもぐることのできない根がうねうねと露出しており、大きな木が一本もない。ある程度の大きさまで育つと根が幹を支えきれなくなり倒れてしまうのだ。ジャングルには”24時間”という名前のばかでかいアリがいる。このアリに刺されると24時間、発熱と頭痛に苦しむというのがその名前の由来だ。
途中で他のツアーとすれ違う。彼らはなんと皮のふんどし一丁のガイドに連れられている。このあたりの先住民のペモン族だ。うちらのガイドのミゲルは何ヶ国語も流暢に話し、もちろんちゃんと服を着ている。ミゲルもペモン族だが、同じペモンでも方言が三つあり、いろいろ違いがあるようで、ふんどしガイドはミゲルとは違う人々なのかもしれない。ペルーのイキトスで見た、観光客が来ると裸で踊り出すえせ裸族と同じく、ふんどしは営業用なのかもしれないが、どうせならスペイン語も英語も話せなくてもいいから、ふんどしガイドがよかったなとかなりうらやましい。
展望台に着いた。ジャングルを出たとたんに強風と霧状の滝のしぶきに見まわれる。大きな岩の上にしがみついて、滝を見る。台風中継さながらに風で吹っ飛ばされそうだ。雲が晴れるのと風が止むタイミングを見計らって岩陰から出て、ファインダーにしぶきがつくのもおかまいなく、写真を撮りまくる。あまりの迫力に目が離せない。おかげで岩から足を滑らせ、何度か転んでしまった。岩にしがみつきながら、昼食のスイカとバナナにかぶりつく。ずぶぬれで寒いので水浴びどころではなく、滝の真下には行かずにキャンプに戻ったが、今となってはこれが心残りだ。真下からも眺めておくべきだった。キャンプ近くの川原から滝がよく見えた。展望台にいたときは雲が多かったが、昼からは晴れてよく見えた。倒木に腰かけて、あきるまでずっと眺めていた。
テプイがいっぱい ラトン島から 雲がなかなか晴れない 台風中継並みの風の中
チュルン川 アウヤンテプイ <3日目>2003年6月13日(カナイマキャンプ泊):朝7時にラトンシートを出て、1時間でアオンダ着。朝食後、カナイマまで戻る。途中でオオカワウソの一家が水面から顔を出してこちらをうかがっているのも、鮮やかなオレンジ色のペルー国鳥コックオブロックが森の上を飛んでいくのも見えた。運がよければ川辺にアリクイがいることもあるそうだ。カナイマで交渉して、昨日一食足りない分を今日の昼食に振り替えてもらう。カラオ川で水浴びしたり、近くの滝を散策したりしてすごす。カナイマは空路で輸送するため、物価が高い。シウダー・ボリーバルもそんなに物価が安いところではないのだが、カナイマはシウダー・ボリーバルの2、3倍はする。おまけの1泊は食事がついていないので、夕食はパンとイワシの缶詰を買ってイワシサンドにした。
<4日目>2003年6月14日:シウダー・ボリバルに戻る。昼過ぎにカナイマを発つ。復路は予定通りパラグアに飛ぶ。パラグア−シウダー・ボリバル間で検問がなんと5回もあり、閉口する。ベネズエラ人と一緒なので何事もなくすんだが、これがまたタクシーで外国人だけ乗っていたりなんかすると賄賂をせびられるのだろう。
★シウダー・ボリバルでエンジェルフォールツアーを申し込んだ旅行代理店
ADRENALIN EXPEDITIONS
Calle Bolívar,Cetro Comercial Roque Center,local#6,principio calle de piedra de la Catedral,Ciudad Bolívar,Venezuela
E-mail:adrenalinexptours@hotmail.com(英語、スペイン語) kiokitok@hotmail.com(日本語)
TEL:(0285)632−4804(英語でもスペイン語でもOK、2004年1月23日までは日本語でもOK)・2003年12月現在、私が働いている旅行代理店。元々、ホテルカラカスの中にあった代理店のスタッフが経営方針が合わず、独立してつくった新しい店。安いわりにはなんでも精一杯やってくれるが、ツアー内容に関してできないことはできないとはっきり言う。だましたり、はぐらかしてまでツアーに申し込ませようという姿勢が一切ない。