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最終更新日 2004/02/02

 トリニダード&トバゴ<その1>

トリニダード&トバゴぶらぶら

ネックとジョビ

パタゴニアではもっぱらヒッチばっかりだったので拾ってくれたおっちゃんと一緒に旅することが多かったが、まさか南米を少しはずれて、足を伸ばしたカリブ海の島、トリニダード&トバゴでまでおっちゃんと旅することになるとは思いもしなかった。しかも、おっちゃんひとりじゃなくてふたり。ネックはマルガリータ島出身のベネズエラ人。ジョビはリオ・デ・ジャネイロ出身のブラジル人。しかも、なぜか3人そろってなりゆきで普通の民家に転がりこむことになるのである。その結果、この旅はかなり面白かった。しかし、普通にB&Bに泊まっていたとしたらさぞかし退屈していたことだろう。民家に泊まる交渉力がないなら、この国はやはりカーニバルの時期(2004年は2月21〜24日)に来るのがずばり正解でしょう。

 

ピッチ湖に咲く蓮の花

まずT&Tはビザを取るので一悶着あった。飛行機で入国する場合は、空港で即ビザが出るのだが(ただし、これはあくまで暫定処置なので、あらかじめ取得しておくことが望ましい)、ベネズエラのグイリアから週一回水曜に出ているランチャで入国するつもりだったので、カラカスに仕事で出たついでにT&T大使館に行った。即日発行は無理でも翌日発行だろうと思っていたら、15日もかかると言われた。「旧イギリス領だからって、お高くとまってんじゃねえよ!」ともうちょっとで暴れそうになったが、ぐっとおさえてシウダー・ボリーバルに戻ったとたんに電話があった。“Thank you very much. I am coming soon.”などと心にもないことを口先ではにこやかに応えながらも「できたから取りにこいだと〜!」と電話を叩き切った。つまり、一応窓口では15日かかるとは言うものの、実際は3、4日でできるのである。京都出身の私は、常日頃、京都とイギリスって似てると思っているので、なんとなくイギリス的思考であるとか、やり方が理解できるような気がしていたのだが、中南米をはじめ、スペイン語圏に気づけばすでに4年近くもいるわけで、スペインおよびラテンアメリカ的大雑把極まりないやり方に慣れきってしまった今となっては、こういうのはかなり頭にくる!のだ。ビザ代はBs.12850。証明写真2枚必要。

 

ベネズエラからフェリーで4時間

石油採掘所

というわけで、ビザを取るために、また行きたくもないカラカスに行き、テルミナル・デ・オリエンテから出ている直行バスで12時間強(クルセロ・オリエンテ・スール社・Bs.19300)、グイリア着。カラカスからのトリニダードまでのフライトは表示価格200ドルほどで、公定レートと闇レートの差を利用してボリバルで払うと130ドルになる。グイリアからのランチャは往復Bs.242000ということをあらかじめ電話で確認していたのだが、なんとなく嫌な予感がしたので両替せずにドル現金を持ったまま、現地入りした。すると予感的中。ドル払いしか受けつけないことになっていた。ベネズエラ通貨ボリバルは、ベネズエラを一歩出たとたんに紙くず同然なのだ。結局、ランチャ往復96.60ドル+出国税の121ドルを、ベネズエラ国内ではほとんど入手不可能なドル現金を温存しておくため、ドルTCで支払った。カラカスからグイリアまでのバス代を考えると、こんなことならよっぽど飛んだ方がよかった。しかも、飛べば45分のところ、ランチャは4時間半もかかる。

T&Tもベネズエラに近いところでは石油が出る。しかし、1リットルBs.95のベネズエラほど安くはなく、ここでは1リットル60円ほど。しかし、それにしてはタクシー代が高かった。Pナンバーがいわゆる白タク。Hナンバーが正規のタクシー。どちらも値段はかわらないのでHナンバーに乗るべし。

 

路上のココ売り T&Tのビールカリブ

もうひとつ船の難点。水曜日15時にベネズエラ・グイリアを出て、トリニダード島・ポート・オブ・スペインのチャグアラマスから戻ってくるのが同じく水曜日の9時。つまり往復でチケットを買ってしまうと、1週間はT&Tから出られない。物価の高いT&Tで1週間! 初日はランチャに乗り合わせたおっちゃん2人と一緒にタクシーでポート・オブ・スペインの街中、ウッド・ブルック地区まで出て、B&Bに泊まる。1人20ドル。二段ベッドの上が1人用、下が2人用だったのでおっちゃんたちが下に寝た。さすがに朝食はおいしかったし、シャワーは熱かったが、毎日これでは腐っても日本人である私はともかく、ベネズエラ人とブラジル人はたちまち路頭に迷ってしまう。

翌日から私たち3人はやはり同じランチャに乗っていた、メリダ出身のベネズエラ人エドワルドの家に1泊TT$50で泊めてもらうことになった。彼はヒンズー系、つまりインド系の奥さんと結婚して、クヌピアというところに住んでいる。ポート・オブ・スペインの街中は実に退屈で、ヒンズー寺院もイスラムモスクもあり、ハラル食品がごく普通に売られている住宅街の方がよっぽど面白い。アフリカ系41パーセント、インド系41パーセントの人口比率とそれぞれが持ちこんだものは、ポート・オブ・スペインを出て、普通に人々が生活しているエリアまで踏みこまないとなかなか感じることができない。

まるで民家なヒンズー寺院 夜のヒンズー寺院

ヒンズー祭壇

右がカレーの達人のママ

 

体育館かと思ったら…  モスクでした

T&Tで一番びっくりしたのは、スパイスの豊富さ。ということは、ここもカレーがうまいのである。インド系万歳! エドワルドの奥さん、バーシャのママがつくるヤギカレーは世界一うまいんじゃないだろうか。T&Tのカレーにはロティ(チャパティと同じく発酵させない薄焼きのパン)がついてくる。ペラウというココナッツミルクの炊きこみご飯もおいしい。はまったのはポローリー&チャツネ。タコ抜きたこ焼きに果物を調味料でつけた、あまずっぱからいソースにひたして食べる。粉好き関西人としてははずせない一品。ヒンズー教徒、イスラム教徒が多いため、豚肉、牛肉はなかなか売っておらず、鶏肉が最もポピュラーな食肉。もちろんハラル処理済。

 

クイーンズ・パーク・サヴァンナ沿いの壮麗なる7軒の一部

もうひとつびっくりしたこと。公用語でありながら英語がすさまじく汚い。中米ベリーズと同じく、お里が知れる英語なのだ。発音どころか文法まで間違っている。「日本では犬を食べるか」と尋ねているのかと思えば、よくよく聞けば犬(dog)ではなくアヒル(duck)であった。猫(cat)か切る(cut)なのかもよくわからなかったし、how manyというべきところをhow muchといっていたりと、T&Tの国民全員を駅前留学させたいほどにとにかくひたすらでたらめ。

 

天然アスファルト アスファルトの塊

天然アスファルトの湧いているピッチ湖に行く。湖底からアスファルトがもこもこ湧いているというよりも、湖岸に固まっているという感じ。水面にはぽこぽこガスがあがってきている。虫除けや吹き出もの対策にここの水で地元の人は肌を洗うらしい。頼みもしないのに黒人が勝手に案内をしてきた。うざい。まるでモロッコ。帰ろうとするとやっぱりガイド料を払えときた。「ガイドならIDを見せてみろ」と言うとかなりひいた。それでも3人の自称ガイドに4人分TT$45払った。確かにガイド付ツアーのみと看板が出ていたし、観光局でもらった公式ガイドブックにツアーはTT$30と書いてあったから、まあ妥当か。しかし、やり方が汚い。最後ではなく、最初に集金するべきなのだ。しかも、彼らが本当に正規のガイドであったのかどうかはいまだに謎のまま。

トリニダード島の西側、オリノコ河口のパリア湾はタンニンで茶色い川が流れこんでいるせいで海が汚い。南米大陸に面した南側はコロンビアからドラッグが水揚げされるため、治安が悪い。一番きれいなのは北側、カリブ海にあるマラカスビーチ。ビーチや道路沿いの屋台で売っている、サメのフライをバンズにはさんだシャーク&ベイクが名物。マラカス湾を見下ろす展望台の露店で売られていた果物のシロップ漬けがあまりにまずく、カリビアンヒンズー飯がうまいT&Tで食べたものの中で最も、しかもけたはずれにまずかったせいもあって、シャーク&ベイクはうまかった! スペインはカディス以来、久しぶりにサメのフライを食べる。

マラカス湾 どれもこれもまずいシロップ漬 ライフセーバー勤務中 マラカスビーチ

 

T&Tの国鳥スカーレットアイビー(ベニヘラサギ)。その真っ赤な群を見るために私はT&Tに来た。ブラジルではグアラーと呼ばれるその鳥を、ブラジル北部の大西洋岸沿いを旅する間中、ずっと追っていたのだがついに見ることがかなわなかった。グアテマラでもグアテマラ国鳥ケツァールが見られたのだから、T&Tでもスカーレットアイビーが見られるはずだ。

ポート・オブ・スペインにある動物園(TT$4)にもスカーレットアイビーはいる。ただし、ずいぶんとあせた色をしていて、まるでフラミンゴみたいなオレンジ色だった。彼らは赤い餌を与えられていた。きっとフラミンゴと同じで餌の色素が羽の色を決めるのだろう。飼われている彼らがあまりに貧相な色だったから、写真を撮る気にもなれなかった。野生のスカーレットアイビーはきっと燃えるような深紅であることを期待した。

トリニダードを去る前日、ポート・オブ・スペインの南15キロに位置するカロニー湿原を訪れた。夕方、4時カロニー・バード・サンクチュアリーツアー(T&T人TT$40、外国人TT$60)のボートが出る。マングローブの森の間をボートは進む。岸辺のカイマンワニや頭上にとぐろを巻くヘビを見ながら、湖に出る。ひときわ大きなマングローブの木の正面にボートは停まり、声をひそめてスカーレットアイビーを待つ。彼らは明るいうちはベネズエラですごし、日暮れになるとねぐらとしているトリニダードのこのカロニーの森に帰ってくる。

カロニー川

マングローブの森

頭上にとぐろを巻くヘビ

カロニー湿原の夕焼け

 

日が西に傾くにつれて、三々五々赤い鳥がやってきた。暗くなり始めた空にもその赤はひときわ鮮やかだ。生き物の色として、こんなにも鮮やかな赤が存在するということにただ驚く。どこに行っても自然はいろんな手を使っていちいち私を驚かせる。しかも自然はその術を無限に知っていて、だから人間の分際で可能なかぎりそれを見たいと一度思えば、旅は終わることがなくなるのだ。スカーレットアイビーが羽ばたくたびに、はるか頭上に深紅が揺れる。次々に飛来する鳥たちで緑の濃いマングローブは赤や白の花を咲かせているかのようだ。神経質な彼らが逃げてしまわないよう、かなり遠くからしか見ることができず、望遠がないことが口惜しかった。

カロニー・バード・サンクチュアリー

 

今回は時間が足りず、残念ながらトバゴ島に行けなかった。1週間あっても民家に泊まると、食事によばれたり晩酌のおつきあいをしたりとなにかと忙しく、観光している暇がなくなる。T&Tはスチールドラムが有名だが、その演奏さえも聴きにいけなかった。特にラテンの人々とつきあうと、ずるずるだらだら、時間がいくらあっても足りない状況に陥りがち。その代わりにカーニバルの時期にも格安で泊まれる宿ができたわけだが。

トリニダード島の東にあるナリバ湿原にはマナティが13頭住んでおり、ツアーで行ける。しかし、ベリーズで思いしったのだがマナティというものはぽこんと浮かびあがってきて、水上に鼻先だけ出して息を吸うとまた沈んでいくということを日がな一日繰り返している生き物なのである。だから、顔さえも見られないことがわかっていたので行かなかった。北東のマテロットの海岸には4〜6月に海亀が産卵にやってくる。

トリニダード島からトバゴ島へは月〜金曜14時、日曜11時に、トバゴ島からトリニダード島へは毎日23時にランチャが出る。所要5時間でTT$50。トバゴ島の東端にダイビングポイントが集まっている。ということは、そのあたりの海がトバゴ島で一番きれいということ。トリニダード島からのランチャが着く港からそこまでは車で2時間。今度来るときはトリニダードならではのスチールドラムを使ったカーニバルを見て、トバゴのきれいな海で泳いで1週間すごしたい。もちろんまたカレーをはじめとする、カリビアンヒンズー飯三昧。

ベネズエラに長居しすぎて、どこかに出国する必要に迫られ、すでに行ったことのある、ブラジルやコロンビアに出るのがなんとなく癪で、ついT&Tに出た。いずれカリブ海の島々へはカリビアンスターエアラインズ(アンティグア・バーブーダの航空会社)の30日間乗り放題600ドルのチケットを握りしめて、あらためて出直すつもりだ。

 

★カロニー・バード・サンクチュアリーツアー

・NANAN'S BIRD SANCTUARY TOURS

#38,Bamboo Grove Settlement No.1 Uriah Butler Highway,Valsayn P.O.,Trinidad,W.I.
TEL/FAX  (868)645-1305
E-MAIL nantour@tstt.net.tt

・カロニー・バード・サンクチュアリー唯一のツアーオペレーター。T&T人TT$40。外国人TT$60。16時にボートが出るのでその発着所まで自力で行くことになる。要電話予約。

 

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