最終更新日 2003/04/14
ペルー<その8>
ペルーぶらぶら6<プカルパ〜イキトス〜ユリマグアス1>
アマゾンの夜明け
ワンカーヨからプカルパまでバスで21時間(セントラル社・s/.40)。ワンカーヨは高度3260メートル。ワンカーヨからプカルパまでの間に通ったセロ・デ・パスコは4338メートルにあり、クスコ(3360メートル)よりもプーノ(3855メートル)よりも高いところに位置する。そこをピークに高度205メートルのプカルパまで後は下り。気温がどんどん高くなるので筍のようにどんどん服を脱いでいく。難関はその途中にあるティンゴ・マリア。21時間一気にバス一本で行ってしまうよりは、もちろん途中で休んだ方が楽だし、安いのだが、絶対にティンゴ・マリアで降りたくなかった。その手前のワヌコで降りてコトシュ遺跡によってもよかったのだが、どっちにしてもおそらくティンゴ・マリアで乗り換えになる。ティンゴ・マリアは麻薬密売が盛んなのだ。警官に荷物を開けられると、身に覚えのない白い粉が出てくるなんていうのはよくある話。もちろん、賄賂目的で仕組まれた茶番である。いくら直行バスでも検査のために停められたら、それはもうどうしょうもない。念のために荷物の開く部分すべてに鍵をかけた。こういうところでは盗られる心配はもちろん、忍ばされる心配もしなければならない。しかし、朝通ったおかげか、結局検査もなにもなかった。村はなんてことのない、のどかなところに見えたが、このあたりは絶対に明るい時間に通らなければやっぱりまずい。
岸辺にときどき集落が見える
甲板からのアマゾンの夕日
イキトスへのアクセスは空路か、水路。すでにライフラインのしっかりした大きな街なのだが、いまだに陸の孤島のままだ。プカルパからイキトスまでは船で丸3日(所要時間は水量次第。雨季で水量が多くなるほど早くなる。ヘンリーV世号・s/.70・食事込み)。ウクヤリ川を下っていくとイキトスの手前でマラニョン川と合流し、アマゾン川本流になる。プカルパには観光案内所はなく、うまく情報が得られずに見逃してしまったが、ヤリナコチャ湖畔のサン・フランシスコ村にはシピボ族という少数民族が住んでいる。船は途中の集落にエンジンつきの小さなボートを寄せて、人を乗せたり降ろしたりしていく。プカルパから乗っていたシピボ族の乗客は、プカルパから1日で着くコンタマナという人口2万人ほどの町で降りていった。彼らはコンタマナにも住んでいる。濃い緑の丸首で襟のないブラウスに幾何学模様の刺し子のスカートを着ていた。このコンタマナには、温泉も宿もあり、つい近年発見された(彼らはずっと前からそこに住んでいたのだからこういう表現は変なのだが)少数民族がいる。彼らは教育を受けていない(制度化されていないにしても、彼らには彼らなりの教育があるだろうからこういう表現もやっぱり変なのだが)のでスペイン語がまだ話せないらしい。奥深いアマゾンのジャングルにはいまだに発見されていない少数民族がまだまだいそうだ。
人口密度が低いときは快適 アマゾン川をいく船はどれも泥棒船である。船の出航日はだいたい決まってはいるのだが、貨物のついでに客を乗せる船以外は客室がいっぱいになるまで出ない。客室は船の大きさにもよるが、たとえばプカルパ−イキトス間で乗ったヘンリーV世号はキャパ300人。もちろんベッドなんてなく、ハンモックを下げて寝る。人口密度があまりに高いのとあまりに暑いので、マットと寝袋で寝るのは至難の技。ハンモックが少しでも揺れると隣の人にあたるほど、びっしりと人が下がっている。そして、時間に関係なく、沿岸の集落に着くたびに人が乗り降りする。だから、人ごみに紛れて荷物が盗まれやすい。ハンモックの下に靴でも脱いでおこうものなら、それも持っていかれる。船からの景色はとにかく延々とジャングルですぐにあきてしまう。そんな船旅での楽しみは食事。船には生きたままの鶏や豚が積まれており、食事のたびに屠られていく。鶏はともかく、豚の悲鳴はうるさくもあり、悲しくもあるが、殺したての脂身は最高にうまかった。食事のパターンはだいたい決まっている。朝食は雑穀の粥のような白くて甘いものと保存用の堅いパン。昼食がご飯とじゃがいも、豆、鶏か豚肉の煮こんだもの。夕食が鶏か豚の雑炊か、パスタ入りスープ。鍋が叩かれると準備完了の合図。まるで戦後の配給か刑務所のように、みんな急いで乗船券と鍋やタッパーなどの容器を持って並ぶ。ハンモック、タッパー、スプーンは必須アイテム。不慣れな人はそんなものがいるとは思いつきもしないから、港では売り子が待ちうけている。ハンモックは網の軽くて寝心地の悪いものがs/.10、布で重いけど寝心地のいいものがs/.20。スプーンがs/.1。タッパーがs/.2。集落に着岸するたびにアイスキャンディやパン、焼き魚など、いろいろな食べ物を売りに来るので、それを買い食いするのも楽しみ。でも、船内の蛇口をひねって出るのは茶色い川の水。アマゾンの茶色は汚れているのではなく、紅茶と同じで葉っぱからしみ出た色なのだけれど、普段から川の水を使い慣れている地元の人は大丈夫でも、ひ弱な観光客はそれでは歯も磨けない。
イキトスはペルーであってペルーでない。まるで国境の手前にもうひとつ別の国があるようだ。暑いところはどこも雰囲気が似てくるのか、東南アジアのどこかの街のようでもある。人種的にもコロンビアやブラジルに近く、混血が進んでいる。ここまで来るとさすがにインカ面はいない。イキトスをはじめ、ペルー北部ではけっこう黒人も見かける。この街は19世紀末の天然ゴムラッシュで欧米人が入植して、一気に大きくなった。街中でのみどころは、なんといってもベレン市場。ペルーの他地域にはない果物がいっぱいある。亀もそれとわかるほど、ほどほどに解体されて並べられている。亀の卵も違法だが茹でて売られている。なにやら怪しげな薬を売っている通りもある。ホワネスというターメリックで色をつけたご飯の中に小さな肉のかたまりを入れ、バナナの葉でくるんだものがジャングル独特の食べ物。白身の川魚を焼いたものも脂がのっていておいしい。市場から出たゴミをあさっているのはカラスではなく、はげたかのようなやたらとでかい黒い鳥。さすがはジャングル。
モトタクシーが走る
ベレン地区
怪しげなものがいっぱい
カラスではありません
すずなりのアグアヘ
まつぼっくりのような実
アグアヘの屋台
イキトスといえば、アグアヘ。これは果物と呼んでいいのだろうか。大きさも形もちょうど日本のまつぼっくりのようで、うろこ状の皮を落として、大きな種のまわりに薄くついている黄色い湿った粉のようなものを食べる。そのまま食べるとすっぱいような渋いような味でまずい。街中のあっちこっちに屋台が出ていて、皮をむいたものを売っている。ひとつs/.0.10。みんな10個単位で買っていく。このアグアヘ、とても身体によいらしい。女性ホルモンと同じ成分が含まれているそうで、女性の更年期障害や男性のはげ予防に効果があるようだ。なぜか全体的にペルーにははげが少ないが、この地域は特に少ないような気がする。そのままではまずいが、ジュースやアイスキャンデーはいける。ベレン市場でアグアヘのジュース(コップ1杯s/.0.50)を飲んでいたら、そこらのおっさんに「アグアヘを一度食べたら、その味を忘れられずにまたジャングルに戻ってくることになるんだ」と言われた。確かにこのジュースなら毎日飲んでもいい。アグアヘはペルーのジャングル地域以外では一度リマの道端で売られているのを見かけただけだ。