最終更新日 2003/04/18
ペルー<その11>
ペルーぶらぶら9<トルヒーヨ/ワラス/リマ>
カハマルカとトルヒーヨの間にチレーテ(カハマルカからコンビで所要2時間・s/.5)という分岐点がある。チレーテでサン・パブロか、サン・ミゲル行きの乗合タクシーに乗り換え、山道を23キロほど行くと高度2300メートルにあるラ・コンガという村に着く(所要1時間半・s/.5)。ラ・コンガには、1988年から東大の調査団が発掘を続けている、クントゥル・ワシ遺跡がある。毎年7〜9月にかけて発掘されるときには、村人が作業員として雇用され、村には貴重な現金収入となっている。つまり、発掘中は村には酔っ払いが増える。月曜日は博物館は休み。博物館の前には調査団の宿舎があり、発掘が行われているとき以外は一般客も泊まれる。チレーテからトルヒーヨまではバスで4時間(テプサ社・s/.20。クリスマスでバス代が値上がりしていたのであまり参考にならないデータ。)チレーテでなかなか人が集まらず、乗合タクシーが出るのを1時間半待った。交通の便はよいとはいえないが、遺跡好きならクントゥル・ワシは来る価値あり。
カハマルカを出て、クントゥル・ワシ遺跡を見て、その翌日の夜中1時半にトルヒーヨ着。クリスマスで人通りが多くて助かった。トルヒーヨは人口75万人でアレキパに次いでペルーで3番目に大きな街。トルヒーヨのみどころもやっぱり遺跡。チムー文化のチャンチャン遺跡、ドラゴンのワカ、モチェ文化の太陽のワカ・月のワカ、エル・ブルホ遺跡と盛りだくさんだが、唯一エル・ブルホ遺跡はトルヒーヨ大学が発掘中で見られず残念だった。街の外れにあるカシネリ博物館(s/.7)はモチェ文化の土器が主な個人コレクション。暑苦しく、狭い地下室に3000点ほどが展示されている。写真撮影厳禁でとても疑り深い管理人の監視の下での見学となる。やはりモチェ文化の土器を中心とした個人コレクションである、リマのラファエル・ラルコ・エレラ博物館には約4万5000点が展示されているので、そちらに行くならトルヒーヨのカシネリ博物館には行かなくてもいい。
カテドラル
アルマス広場
クリスマスのベレン
クリスマス一色
ワンチャコ海岸
トルヒーヨはクリスマスらしくデコレーションされ、カトリックらしく家で家族とすごすのだろう、25日は街に人影は少なかった。クリスマスから元旦にかけてはバス代が上がる。クリスマスと元旦は開いている店も少なく、博物館や遺跡も閉まるため、やることがなくて困る。こんな日をひとりですごすのはさすがに寂しい。トルヒーヨから12キロのワンチャコ海岸まで行って、セビッチェ(代表的なペルー料理。海産物をレモン汁で和えたもの。安いものはタコが多い。)を食べて、浜辺をしばらく散歩したが、カップルと家族連ればかりでよけい寂しくなってトルヒーヨに戻ってきた。
ヤンガヌコ湖
トルヒーヨからバスで9時間(14社・s/.25)でワラスへ。トレッキングをするなら、アンデス・ブランカ山群への基地であるワラスには乾季の6〜8月に行かなければ意味がない。でもまあ、雨季でもウィルカワインとチャビン・デ・ワンタル遺跡は見られるし、周辺ではモンテレイ、チャンコス、サンタ・クルスに温泉がある。コンビでユンガイ(s/.3)へ、ユンガイでコンビを乗り換え、ヤンガヌコ湖(s/.5)へ。途中でワスカラン国立公園の入場料(1日につきs/.5)を払う。ヤンガヌコ湖はチナコチャ湖とオルココチャ湖の二つからなる氷河湖。晴れたら湖の向こうにペルー最高峰6768メートルのワスカランが見えるはずなのだが、この日はあいにく雲が多くて拝めずじまい。後日、ウィルカスワイン遺跡のあるパリヤという村に行く途中で雲が晴れ、ほんのつかの間ワスカランが見えた。ワスカランの他にもワントサン、ワンドイ、チョピカルキといった6000メートル級の山々にワラスは囲まれており、晴れたらどんなに素晴らしいだろうと思う。
1970年5月、ワラスは大地震にみまわれ、ワスカラン山からの雪崩でユンガイは町ごと埋もれてしまった。この雪崩で2万人が亡くなった。Ciudad Sepultada(失われた街)あるいはCampo Santo(聖なる場所)として、今もその旧ユンガイ跡が残っている。しかし、そんな場所でさえ、入場料s/.2でみやげもの屋が出ている。アメリカのツインタワーや神戸の震災跡地ではけっしてそんなことはしないだろう。この国に死を悼む気持ちはないのか、金になればなんでもいいのか。2万人もの人が一度に、しかも静かに亡くなってしまったであろう場所にはもはや町であった面影はほとんどなく、30年前の残骸が少しと亡くなった場所にそれぞれあると思われる墓があちらこちらに残され、その間を埋めるように花が植えられている。町を見下ろす丘には大きな共同墓地があり、白いマリア像が腕を広げて立っている。
旧ユンガイ
共同墓地
ぽっきり折れた塔
ぺちゃんこにつぶれたバス
ワラスからコンビで分岐点マルカラ(s/.1.50)まで行き、乗合タクシーに乗り換え、チャンコス(s/.1)へ。時間があれば、ゆっくりワラス周辺温泉めぐりといきたいところなのだが、もうそんな悠長なことはしていられないので、チャンコス一ヶ所だけにしぼる。あいにく行ったのが日曜日で混み合っていたため、かなり待たされたうえ、15分の制限時間厳守だったが、ここの天然洞窟スチームサウナ(s/.5)はなかなかよい。奥には熱い湯が沸いていて、その湯気が洞窟に充満している。たった15分で効果あるのかと思いながら入ってみたが、出てきたときには熱さでふらふら、肌はすべすべ。特に5番の洞窟が熱いようだ。プールや個人風呂もある。洞窟でこの熱さなら個人風呂も期待できそうだが、平日の空いている時間でなければ長湯はできない。ちなみにモンテレイは45℃でワラスから一番近い温泉。チャビン・デ・ワンタル遺跡のあるチャビン村にも温泉がある。
黒いケンタッキー
ワラスからリマまではバスで7時間半(14社・s/.20)。ペルー人が「リマは危ない」というほどリマは危ない。しかし、よい博物館がたくさんあるのでここは絶対外せない。ペルーのあらゆる文化の金製発掘品を集めた黄金博物館(s/.30)には正月休みの日本人団体客がいっぱい来ていた。彼らにはもちろん日本人のガイドがついていて、聞くともなく聞こえてくる説明はなかなかためになった。博物館というより宝物蔵という感じでべらぼうに高い入場料も納得できる。チクラヨでTBSが発掘したシカン遺跡の博物館にはなかった、埋葬用の黄金の腕をここで見つけて狂喜した。織物を展示している2階が閉まっていて残念。ラファエル・ラルコ・エレラ博物館(”学割”s/.10)のみどころはなんといってもモチェ文化の土器。中でも未青年が見学できない、性をモチーフにした土器ばかりを集めたエロチカの間が面白い。ペルーの文化は文字を持たず、そのせいか特にモチェ文化の土器は写実的である。3Pやアナル、オーラルはもちろん、子供が生まれてくるところなどまで土器になっている。こんなもんまで土器にするかとも思うが、他に娯楽が少なかったぶん、昔は寛容だったのだろう。ちなみにラファエル・ラルコ・エレラ博物館の番犬は裸犬。ペルー原産の毛のないつるんとした犬である。普通の犬より体温が高いのでリュウマチ患者が抱いて寝るにはちょうどいい犬だ。チャンカイ文化のコレクション、天野博物館(無料だが要電話予約)も面白い。チャンカイ文化は織物はカラフルで技巧を凝らしているが、そのぶん土器は地味でシンプルだ。チャンカイの墓からは副葬品として布性の人形が見つかっている。しかも、人形は座布団に座っているのだ。人をかたどった土器は頭でっかちで手足が短く、ドラえもんのように愛嬌がある。残念なのは3万点以上のコレクションのうち、300点しか展示されておらず、しかも展示品の入れ換えがないこと。たとえ入れ換えがあってもそうそうリマまでは行けないのだが、これはとても残念なことである。そのほか、街中にある中央準備銀行博物館は無料で展示品も少ないがなかなか面白い。正月にかかっていたため、国立人類学考古学博物館は1月5日まで休館で見られず。時間がなくて日本人移住史資料館や国立博物館にも行けなかったので、またいつか出直すつもりだ。
リマの街中にはみどころはない。規制が厳しくなったため、露店がなくなったそうで屋台めぐりの楽しみもリマにはない。それでもゲリラ的に多少屋台は出る。ラ・ウニオン通りに出ていた屋台でセビッチェを食べていると警察官がやって来て、撤去するように注意していた。中央市場は近代的で他の都市の市場ほど雑多な感じはないが、確実に庶民の味、手頃な値段のセビッチェを食べられる。スープとインカコーラ、イカのフライもついてs/.5。レモン汁をたくさん使うためすっぱく、日本人はセビッチェが苦手な人がけっこう多いようだ。中央市場のセビッチェ通りは競争が激しく、いつも客引き合戦。リマはコピーCDが安く、3枚s/.10と1枚1ドルしない。とはいえ、ボリビア、ペルーはべらぼうに悪趣味なアンデス歌謡曲とでもいうような、リズムボックスだけでつくったような安っぽい曲が流行っていて、バスの中でもどこでもそれがかかっていておもわず耳をふさぎたくなるほどだから、なかなかいいCDはない。リマには日本語の話せるホームレスのおじさんがいる。ホームレスといっても彼はこぎれいで奨学金をもらって大学にも通っている。彼にはかつて日本人の奥さんがいて、日本に8年いたことがある。日本語で話しかけてくるような輩はまず危ないと思って間違いないが、彼は本当に悪意のないよい人だ。アルマス広場のあたりに行くときっと彼に会えるから、おいしくて安い中華の定食が食べられる店をおしえてもらうといい。
1535年に建てられたカテドラル
アルマス広場
サン・マルティン広場
サン・フランシスコ教会