最終更新日 2002/08/02
グアテマラ<その2>
世界遺産アンティグアのセマナサンタ
セマナサンタは気の長い祭でイースターの40日前から始まる。教会では特別ミサやベラシオン(通夜)と呼ばれる一般開放が行なわれ、日曜日ごとにプロセッション(輿)が出る。プロセッションとはキリストの受難劇を再現した輿を信者がかつぎ、香を焚き、楽団を伴い、練り歩くものだ。最後の一週間は聖週間と呼ばれ、毎日輿が出る。特に聖木曜日と聖金曜日が盛り上がる。キリスト教行事とはいえ、祭なので教会前には移動遊園地、出店や屋台が出る。アルフォンブラという着色したおがくずや草花で飾った花道がみどころ。とにかくスリ、置引きが多いので要注意。期間中は宿泊料が倍に跳ね上がる。それでも部屋がなくなるので高いホテルにかなり前もって予約を入れるか、余裕を持って現地入りして安宿を確保しておくかのいずれかが必要。
2000年3月12日
中央公園にいたらサン・フェリペ・デ・ヘスス教会の輿が通りかかって驚いた。プロセッションが出るのはセマナサンタだけだと思っていたからだ。それまでも日曜ごとにアンティグア周辺の各教会からひとつずつやってくるそうだ。プロセッションは一日がかりでアンティグア中をまわり、出発した教会に戻っていく。
2000年3月19日
夕方、プロセッションが通るのを公園で待つ。前回は5時くらいに通ったので、4時半くらいから待ちかまえていたのだが、いっこうに来ない。7時前、しびれを切らして帰りかけたところにちょうどやってきた。(後日、観光案内所でガイドが配布されていることを知る。)
サンタ・イネス・デ・モンテ・プルシアノ教会のプロセッション
2000年3月26日
アンティグアから2.5q、ホコテナンゴ教会のプロセッション。中央公園近くの観光案内所で進路を入手。プロセッションは昼12時にホコテナンゴ教会を出発する。先頭の小さなイエス像はアルフォンブラを踏まず、その脇を通った。その後は、鎖で吊るした香炉を持った人々が5、6人、やはりその脇を通る。十字架を背負ったイエス像をかついだ30人がプロセッション独特のもったいぶったステップで初めてアルフォンブラを踏む。アルフォンブラに使われている花や装飾を集め、輿に飾る係もいる。輿をかつぐ男たちは、みな紫のアラビア風の服を着けている。イエスの後は、女たちのかつぐマリア像がやって来た。売春宿の女たちも外に出てきて一心不乱に見つめている。たくさんの人が涙ぐみながら十字を切っている。
自分の家の前に生花や着色したおがくずでつくるアルフォンブラ 最初に踏むのはメインの輿
ホコテナンゴ教会 移動遊園地はなんと手動 ホコテナンゴ教会のプロセッション
2000年4月2日
アンティグアから1q、サンタ・アナ教会のプロセッション。出発は13時。輿をかついでいた日本人が観光客は15Q払って参加していると言っていた。かつぎ手はみんな胸に赤と黒の二つの数字が書かれた番号札を下げている。輿の前に赤い数字のプラカードを掲げている係がいて、一定の時間が経つとその番号を替える。輿のかつぐところにもそれぞれ黒い数字がふられていて、その組み合わせが胸の番号になる。イエスをかつぐ男性の衣装は紫、マリアをかつぐ女性は黒だった。それぞれ自分で用意しているようで衣装に使われている布はまちまちである。それにしても全身紫づくめは暑そうだ。
サンタ・アナ教会のプロセッション 香が目にしみる みんな後をついていく 電線を棒でよけながら進む 老舗カフェDon~a Luisaのアルフォンブラ
アンティグアに戻ると子供のプロセッションをやっていた。小さな子供たちが小さな輿をかついでいる。男の子は黒い衣装を、女の子は白い衣装を着ている。そのまわりをぐるっとカメラやビデオを手にした父母にとりかこまれながら輿は進む。重いのか、嬉しそうな子供はいない。みんな、わけがわからぬまま、かつぐはめになってしまったという顔をしていた。
子供によるプロセッション
2000年4月9日
サン・バルトロメ・ベセラ教会のプロセッション。出発は10時。小さな教会だが、80人にかつがれた輿が出てきた。小さい教会に不釣合いなほど立派な輿だ。大きいので方向転換がたいへんだ。見物人の頭をかすめるようにして左に曲がり、いつものようにもったいぶった足取りで進んでいった。キリストの輿は今までで一番立派だが、マリアの輿はいつもとあまり変わらない。この輿は一日でのべ5千5百人がかつぐのだそうだ。
夜10時すぎに音楽が近くなってきたので、共同墓地の前まで行ってみると暗い中を人々がアルフォンブラをつくっていた。墓地の前にはろうそくで飾られたひときわ大きいアルフォンブラがあった。それを見ているといきなりマイクでナレーションが入り、キリストの登場する寸劇が始まり、すぐ終わった。そこにプロセッションが来た。教会が近づいているせいか、ずいぶん早い足取りだ。かつぎ手は何順もしたのだろう、いかにも疲れた顔をしている。輿をかつぐのには、きっと十字架を背負ったキリストの受難を疑似体験するという意味があるのだろう。
サン・バルトロメ・ベセラ教会 出発に備えて整列する人々 教会を出発 プロセッションの先頭部隊 この像を80人がかついでいる 後に見えるのはサンフランシスコ教会 紫頭巾人形 5Q サンタルシア教会の上で見物 家の窓から見物 バスの屋根から見物 人形がまわる仕掛けのアルフォンブラ 時計台をモチーフにしたアルフォンブラ
2000年4月15日
サンフェリペ・デ・ヘスス教会
サンフェリペ・デ・ヘスス教会のベラシオン
サンフェリペ・デ・ヘスス教会のベラシオンに行った。前日にはラ・メルセー教会のベラシオンにも行った。通夜とはいえ、出店がたくさん並んでいた。
2000年4月16日
ラ・メルセー教会のプロセッション。出発は12時。テレビの生中継が入っていた。教会前のアルフォンブラのどまん前からも、教会の上からもカメラが狙っている。1時間遅れでやっと出発したとたんにヘリコプターが飛んできた。頭の上に落ちてきそうなすごい低空飛行で撮っている。輿は80人でかついでいるが、ラ・メルセー教会の出入り口が小さいので幅は狭い。
セマナサンタ用の花売り
ラ・メルセー教会前のアルフォンブラ
マリアの輿 後はラ・メルセー教会
ラ・メルセー教会のプロセッション
聖月曜日 2000年4月17日
セマナサンタの始まりだが、小さなプロセッションが出ていただけ。これまでの日曜ごとのプロセッションのほうがよっぽど大きい。
聖火曜日 2000年4月18日
ラ・エルミタ・デ・サンタルシア教会のプロセッション。小さな輿を20人くらいでかついでいる。棒で電線をよける係がいないため、電線にさしかかるとかつぎ手がしゃがんでいた。
聖水曜日 2000年4月19日
また子供のプロセッションが出るがかつぎ手が小さすぎて、観客に囲まれてよく見えなかった。
聖木曜日 2000年4月20日
サンフランシスコ教会とサンクリストバル教会のプロセッション。観光局の車がプロセッションの進路を前もって通り、駐車禁止と車の移動を呼びかけ、レッカー移動までして道を空けていた。
サンフランシスコ教会か、サンクリストバル教会のプロセッション
聖金曜日 2000年4月21日
番号順のキリストの受難
午前3時に騎馬隊がラ・メルセー教会を出発。冷えこむ中、もうアルフォンブラをつくり始めている。さすがに聖金曜日は長いアルフォンブラが多い。朝6時、ラ・メルセー教会をプロセッションは出発した。このアンティグアのどこにこれだけの観光客が、と驚くほどの人出。プロセッションは午後3時にラ・メルセー教会に戻る。エルサルバドルナンバーの車もたくさん見かけたし、ソロラやサンタカタリーナ・パロポなど、遠くからも物売りが来ている。中央公園のあたりは渋谷のセンター街のようだ。セマナサンタ中、土産物の値段はいつもよりずいぶん高く、絶好の稼ぎ時。
アンティグア中の道にアルフォンブラがつくられる
ラ・メルセー教会 ラ・メルセー教会のプロセッション 時計台下を通る輿
午後3時にカテドラルからもプロセッションが出発する。その半時間以上前から神父の説教が始まっており、中央公園は熱心にそれに聞き入る人々でいっぱいだった。誰にでもわかるよう易しいスペイン語で平易な表現を用いた説教は感動的だった。最後に神父が隣人に手を差し伸べなさいと言うとみながそばにいた人々の肩を抱いた。十字架に掛けられたイエスが棺におさめられ、いよいよ出棺である。かつぎ手はみな喪を表す黒い衣装を着けている。セマナサンタはキリストの受難と死、そして復活の物語である。
カテドラル
十字架に掛けられたイエス
棺におさめられたイエスの輿
嘆き悲しむマリアの輿
その後、サンフェリペ・デ・ヘスス教会とエスクエラ・デ・クリスト教会からもプロセッションが出た。輿を引いたり、四人でかつぐ小さな輿をいくつも並べたプロセッションを見た。夜、ライトアップされているプロセッションもきれいだ。
プロセッションのすぐ後からは清掃車がついて来ている。アルフォンブラはプロセッションとそれについて行く人々に蹴散らされ、あっという間に砂とおがくずの小山と化す。プロセッションが通った後はすぐに清掃され、また次のプロセッションのためのアルフォンブラが飽きずにつくられる。チベットの曼荼羅さながらだ。
紫頭巾人形つき清掃車 まもなくゴミとなる
栄光の土曜日 2000年4月22日
サンフェリペ・デ・ヘスス教会のプロセッション。出発は午後3時。教会の周囲にはあまりアルフォンブラはなかった。前日にキリストは死んだので栄光の土曜日の輿は喪服の女たちがかつぐ、泣いているマリアだけだ。
サンフェリペ・デ・ヘスス教会のプロセッション
復活の日曜日 2000年4月23日
復活の日曜日でセマナサンタはすべて終わる。聖金曜日の人出がまるでうそのように、アンティグアはいつもの落ち着きを取り戻している。最後のプロセッションには決まった衣装がないようだ。もうキリストは復活したので、紫や黒の衣装は必要ないのだろう。おまけにこれまでの輿のようにかつぎ手が統一されておらず、大人も子供も老いも若きも一緒にかついでいる。先頭ではアラブ人のような衣装をつけた人々が太鼓をたたきながら踊っている。さらにその前では数人が花火を打ち上げたり、爆竹を鳴らしたりしている。輿の前ではギターを弾きながら、キリストを称える歌を歌っている。輿の後では楽団がやたら陽気な曲を演奏している。これまでのプロセッションに比べて、統一性に欠けているが、なぜか不思議な連帯感に包まれていた。人々は通りすぎ、やがて見えなくなってしまった。セマナサンタは終わったのだ。
キリストを称える歌を歌っている サンペドロ教会のプロセッション 踊りながら先導する先頭集団 服装は自由