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最終更新日 2003/11/22

 エクアドル<その2>

高山列車で吹きっさらしの旅

リオバンバからのチンボラソ

世界最高峰の活火山への登頂に失敗した、我々コトパクシ登山隊は失意のまま、風邪ひきの洟をすすりつつ、ラタクンガからリオバンバに向かった。リオバンバから水・金・日に悪魔の鼻まで観光列車が出ていて、前日の夕方6時から切符が売り出される(購入時、要パスポート)。往復11ドルとまさしく外国人観光客料金。片道だと8ドルだが、3ドルけちって線路と山以外になにもないところで降りたところでどうしょうもない。切符を買って、洟たらし登山隊は1に睡眠、2も睡眠。リオバンバの町にみどころはまったくないので一日中寝ていてもかまわない。

 

屋根の上が特等席

片道5時間半吹きっさらし

切符には7時1分発と中途半端な時刻が書かれている。6時半に駅に行くと、すでに屋根の上にはこの小さなリオバンバのどこにこれだけいたのかというほど外国人が上っている。荷物を貨物車に預け、はしごをよじのぼり、人をかきわけて陣取る。屋根の上に向かって、座布団のレンタルや物売り、物乞いが下から声をかけている。列車はほぼ定刻通りに標高2750メートルのリオバンバを出発した。

 

グアモテで停車中 特等席にも検札が来る

なにを好き好んでこんな標高の高いところで列車の屋根の上なんかで風に吹きっさらされて大喜びしているのだろう。最初の停車駅は標高3048メートルのグアモテ。着いたとたんにはしごに殺到、みんなしてトイレに駆けこむ。外国人相手の商売はあこぎなので、こんなばか高い乗車券を売っておいて駅のトイレ(0.25ドル)さえもさらに金をとる。列車の停車時間だけ屋台が立つ。揚げたしりから飛ぶように売れていく揚げパン(0.25ドル)を買って、「入れるのも出すのも25セントか」と思いながら、また屋根の上に戻る。

 

即席のみやげもの屋 地元客も多い 彼らは行儀よく車輛の中に乗る

悪魔の鼻に至るまでの最後の停車駅はアラウシ。ここから乗ってくる観光客もけっこういる。実は景色がよいのはここから先なのだ。この先に比べたらこれまでの長い道程はなかったも同然なのである。屋根の上にずっといるのはさすがに寒いし、すぐにあきる。わざわざ大枚払って、乗る金が払えない貧乏人みたいに屋根の上に長時間しがみついているよりも、リオバンバからバスで行ってアラウシから列車に乗る方が賢明。ただし、途中乗車は場所の確保が大変。

 

ねだり癖のついた子供たち

アラウシで停車中に子供たちが集まって、屋根の上に向かってものをねだり始めた。よせばいいのにどこかのバカな毛唐が池のコイに餌でもやるように飴を何度もまいた。確かに彼らは貧しいかもしれない。けれど、どうしてわざわざからっぽの手に地面に落ちた施しものを拾わせようとするのだろう。せっかくなにも持っていない彼らに、どうしてなんの努力もなしにものが手に入る経験をさせるのだろう。そんなことをするから、他人からもらうこととくすねることしか考えない大人に育つのだ。彼らがなにかを売りにきたのなら、なるべく買ってあげればよい。施してもいいのは自力で働くことのできない老人と重い障害のある物乞いだけだ。働く力のある人に施すことは、結果としてなにかを稼ごうとする気力と工夫を奪うことになる。せめてはしごを下りて手渡せばいいのに、いったい何様のつもりなんだと不愉快になった。

 

悪魔の鼻

確かにアラウシから悪魔の鼻までの間はきれいなのだが、エクアドルに至るまでにペルーやボリビアでもっときれいな山あり谷ありをさんざん見てきた後だったので正直言ってたいしてうれしくはなかった。スイッチバックを何度も繰り返してたどりついた悪魔の鼻は、頂上がねじの溝みたいに螺旋に少しねじれた山だった。ここでかなり長い間停車した。屋根の上にいることにすっかりあきた乗客は、列車を下りてあたりを手持ち無沙汰に歩いている。

 

まさかの故障でみんな歩く

長い停車だと思っていたのは列車の故障だった。それにしてもうまい具合に、よりによって終点で止まってしまったもんだ。くそったれ。コトパクシ登山隊は風邪ひいて調子が悪いっていうのに、重い荷物をかついでアラウシのはずれまで1時間半も歩くはめになった。もちろん線路に沿って歩いていたらもっとかかる。山道を近道しての1時間半だから当然上りが延々と続くのだ。しかも、昼の一番暑い時間に。車掌がアラウシに歩いていき、それからリオバンバに連絡をして代わりの列車を呼ぶという。いつ来るかわからないそんな列車は待っていられないので歩き出す。もちろん復路の代金は戻ってこない。

汗だくでアラウシのはずれに着くとクエンカ行きのバスが待っていて、クエンカまで5ドルだとふっかけられた。ふざけんな、アラウシの町で降ろせと交渉するが態度の極悪な運転手は聞き入れない。体調が悪くこれ以上歩けそうにない隊員がいるので、町までは歩いていけない。しかたなくバスに乗る。アラウシの町で昼ご飯を食べて水を買ったら、店員がおつりをごまかそうとした。バスはクエンカ−グアヤキルの分岐点でパンクだとかなんだかで、別のバスに乗り換えることになった。すぐにクエンカ行のバスが通りかかり、客がそっちに気をとられているすきに運転手は姿をくらました。乗り換え先のバスに料金は払うと運転手は言っていたが、もちろんそんなわけはなく、新たに3ドル払う。クエンカに着いてから乗り換え先のバス会社に3ドルの領収書を書かせ、分岐点まで乗ってきたアラウシ社に支払いを請求しようと窓口を探すが、クエンカにはターミナルだけでなく、街中にもアラウシのオフィスはなかった。どこまでついてない1日なんだろう。

 

アラウシは町もバス会社もエクアドルで一番最低!

 

我々コトパクシ登山隊は、腹立ちまぎれに酒をかっくらった。野口英世が黄熱病ワクチンさえつくらんかったら、あいつら絶滅しとったかもしれんのに、

 

余計なことすんなよな、野口英世!

 

登山隊の魂の叫びが夜更けのクエンカの街に空しくこだまし消えていった。

 

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