最終更新日 2002/08/02
どこやねん?ベリーズ!
<2000・6・16掲載>
5月5〜12日までベリーズにいた。貧乏旅行者には物価の安さが魅力の中米だが、ベリーズはコスタリカやパナマと並んで物価の高い国だ。それなのに、だいたい3000ドルの予算で半年いようという無謀な貧乏人の私がベリーズに行った理由、それはカリブ海だ。それなら、ホンジュラスでもよかったのだけれど、これからとるルートの都合で決めたベリーズ行きだった。
グアテマラで出会ったベリーズに行ったことのある旅行者たちは、たいがい「何もない割には物価が高い」と評した。だから、出発前は何もなかったらさっさと引き上げてくるつもりにしていた。入国時にくれる、グアテマラの滞在許可は90日間だ。3月11日にメキシコから入国しているのでまだ更新の必要には迫られていなかったが、国外に72時間滞在後、再入国するとまた90日の滞在許可が出る。何もなかったらなかったで滞在許可の更新にも都合がいい。何もないのを見に行くのもたまにはいいかもしれない。
というわけで、あまり期待していなかったし、グアテマラから来ただけ余計に物価の高さが身にしみたが、予想を見事に裏切りベリーズはよかった。なんといってもカリブ海なのである。地べたを這いずるだけの旅行者にはベリーズのよさはわかるまい。オーストラリアのグレートバリアリーフに次ぐ規模の、ベリーズバリアリーフを望むキーカーカーに三泊し、うち二日半は海につかっていた。あまりにつかりっぱなしなので、陸に上がると陸酔いしてくらくらしたほどだった。キーカーカーでは水道から真水が出ないので、シャワーも塩水を浴びたが、特にべたつきも感じなかった。それほど、海水がきれいなのだ。
透明度もすばらしく、シュノーケリングでもずいぶん遠くを泳いでいくマンタを見た。ベリーズは日本ではマイナーな観光先だが、アメリカ人、特にダイバーにとっては人気があるし、マイアミからほんの一飛びだ。上空から見ると海にぽっかり真っ青な穴が開いているように見える、世界遺産のブルーホールでは、野生のイルカとの遭遇率が高い。中米では、ホンジュラスのアンソニーズ・キー・リゾートと並ぶ、有名なポイントだ。現地で入手した観光案内を読んでいて気づいたのだが、ブルーホールを含む北部よりも、アメリカ人にとってもマイナーな南部の方が世界遺産に指定されているリーフが多い。リーフ内に宿泊施設を持つ小島もいくつかある。事前にこの情報を入手していたら、南部の小島に泊まってシュノーケリング三昧だったのにと悔しかった。連日、団体行動第一のツアーに参加して船で行くよりも、一人で泳いであっさりポイントに着く方が、多少宿泊が高くついたところで結局安上がりだ。
こう海ばかりべたぼめにすると、本当に海以外は何もないという誤解を招きそうだが、日本ではあまり知られていないだけで、マヤの遺跡も手つかずの自然もたくさんある。英国領だったので公用語は英語だが、それ以前はグアテマラだったので西語もけっこう通じる。物価が高いのは、輸入品が多いせいだ。買ったビスケットはジャマイカ製、ジュースはメキシコ製、バンドエイドはイギリス製だった。ベリーズ製だったのは、水くらいか。しかし、こんなところで物を生産する気にはとてもならない。たとえ家がなくて、外で寝ていたとしても凍死する心配はない。マンゴーも椰子も勝手に自生しているし、魚もほとんど入れ食いでかかる。概して、アジアは農耕、欧米は狩猟文化だったが、ベリーズはいまだに採集だけで生活できそうだ。とにかく人口密度が低く、移住も簡単そうだ。やはりここにも中国人がたくさん住んでいる。
グアテマラ再入国の前日、国境に近いサンイグナシオという町に泊まった。そこからは、カルペチ、シュナントゥニッチという二つの遺跡に行けるし、洞窟も川もあるし、森林浴もトレッキングも楽しめる。しかし、この町の隠れた名物はカレーなのだ。しかもなぜか本格的なスリランカカレーなのである。実は、私はカレーがあまり好きではない。おまけにサンイグナシオには一泊しかしなかった。それでも、スリランカ人がオーナーの"SERENDIB"というカレー屋には二回も行った。いろんな種類のカレーをおいているが、中でも野菜カレーは絶品である。『地球の歩き方』にも載っているので、機会があればぜひおためしあれ。
いつになるかわからないが、今度またベリーズに行くなら、プラセンシアから出ているジンベイザメシュノーケリングツアーでジンベイザメスイムをし、ベリーズバリアリーフの中のグローバーズリーフに泊まってシュノーケリング三昧をし、最後はサンイグナシオのスリランカカレーでしめたいもんだ。しかし、このベリーズ、物価の高さをしのぐ、最大の欠点は日本大使館がないことなのだった。