最終更新日 2002/08/02
セビリアの理髪師の腕前
<2000・1・7掲載>
セビリアというとどこやねん?それ、と違和感がある。セビリアは夏に世界陸上大会が行なわれた、スペインはアンダルシア地方の都市だが、スペイン語では、Sevillaと表記され、セビージャもしくはセビーリャと発音される。しかし、なぜか日本語では、セビリアと統一されているようだ。
今、田舎の小学校のおばちゃん先生のような頭をしている。9月にマレーシアに行ったときに切ってそのまんまなのだ。さすがに無職とはいえ、散髪代くらいは出せるが、日本の美容院が高く思われてならず、なんとなく行かずじまいになってしまっている。そもそも眼鏡をかけて、美容院に行ったのが失敗の元だった。髪型のカタログを見せてくれと頼んだら、ブロンドモデルばかりのカタログを手渡された。中国人とか日本人のカタログはないのかと訊いたら、日本のファッション雑誌が出てきた。気に入った髪型を見つけて、座ったとたんに眼鏡をはずされ、何も見えなくなってしまった。福建省出身の中国系三世だという、美容師のお兄さんといろいろ話しながら切ってもらい、できたよ〜と言われて、渡された眼鏡をかけたら、すっかりおばちゃんになっていた。指定した髪型とは似ても似つかない。蛍ツアーのピックアップもせまっていたし、いまさら何を言ってもどうなるものでなし。人生あきらめが肝心です。
シャンプーするのもうまかったし、腕が悪いわけでもなかった。値段も現地の物価で考えるとそれなりだった。時間をかけて、丁寧に切っていたし、話もそれなりにはずんでいたから、観光客だからなめられたわけでもなさそうだった。ただ、かなりセンスが違っていたのだろう。
スペイン・マドリッドでもスペイン人に切ってもらっていた。中国人がやっている中国人御用達の店も、日本人がやっている日本人御用達の店もあるにはあるが、なにごとも経験である。スペイン人の美容師には、東洋人の髪質というのが珍しいらしかった。私の知っている日本人はみんな"たかし"という日本人美容師に切ってもらっていたので、私たちの間では「"たかし"のところに行く」というのは、「髪を切りに行く」という意味だった。それほど、スペイン人に切ってもらう日本人は少ないということなのだろう。
で、肝心のスペイン人の腕前だが、結論から言えば、スペイン人に細やかさを期待してはいけない。シャンプーでもしてもらおうものなら、肩が濡れるのは当然だ。家に帰って、髪をといたら、長さの揃ってない毛先がぴんぴん跳び出してくる。とにかく、一人にかける時間が短い。その通っていた店は、いつも地元の若い女性客でにぎわっており、値段は庶民的だが、おしゃれな構えだった。ちなみに、この手の基本料金の安く設定されている店は、美容師の言うがまま、トリートメントやらスタイリングフォームを使わせておくと、そのぶん加算されてしまい、かえって高くつくのでいらないサービスはどんどん断ってしまう方がよい。
いや、これはマドリッドだけのことで、もしかするとセビリアの理髪師は、素晴らしい腕前を持っているのかもしれない。なんせオペラのタイトルにまでなっているほどなのだから。でも、人というものは南に行くほど、ゆっくり、おっとり、細かいことなど気にならなくなっていくのが、普通である。
そんなわけで、今はグアテマラで髪を切るのを心待ちにしているのだった。